カスタマーサクセスで設定するKPIとは?設定する3つの手順
2024/02/25
カスタマーサクセスでは、顧客に成功体験を与えることを目的に業務を行いますが、その際に重要になってくるのがKPIの設定です。といっても、KPIが何のことだかお分かりにならない方もいるでしょうから、記事で解説しましょう。
適切にKPIが設定されると、顧客に継続的な支援を行うことができ、成功体験を与えることができるようになります。
ただ、カスタマーサクセスで重要なKPIの種類はいろいろあります。そのうちどれを設定すればいいのか迷うことがあるかもしれません。
そこで今回の記事では、カスタマーサクセスで大切なKPIを8つ選んで紹介します。合わせて、KPI設定手順も解説します。
記事では今後、企業活動を円滑に進める上で重要な情報をお届けしますから、ぜひ最後までお読みください。
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセス(customer success)をそのまま訳すと、「顧客の成功」ということですが、もう少しわかりやすく説明しましょう。
カスタマーサクセスとは、自社の商品やサービスを活用して、成功してもらうための取り組みのことです。自社商品やサービスを購入しても、顧客が成功体験を得られなければ、それ以上の利用をやめてしまうでしょう。
利用が止まれば、もう企業に利益は入ってきません。継続的な利益を得るためには、カスタマーサクセスで顧客を支援し続けることが大事なのです。
カスタマーサクセスが重要な理由
カスタマーサクセスが重要なのはサブスクリプション型ビジネスの拡大が大きな理由です。
以前からサブスクリプション型ビジネスは存在していましたが、現在では様々な分野にまで拡大しています。購入が当たり前だった商品やサービスを月単位のサブスクリプションで利用する顧客も増えました。
サブスクリプション型の場合、買い切り型と違い、購入した商品やサービスに顧客が満足しないと、すぐに解約してしまいます。
それでは、購入してもらっても、企業の利益にはなりません。長期にわたってサブスクリプションを継続してもらってこそ意味があるのですが、そのためには自社商品やサービスを使って、顧客に成功してもらう必要があるのです。これがカスタマーサクセスが重要な理由です。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
カスタマーサクセスに似た言葉にカスタマーサポートがありますが、この2つの言葉には明確な違いがあります。
カスタマーサクセスでは、顧客に成功体験をしてもらうために能動的に関わっていきます。商品やサービスを提供する側から、顧客に働きかけるのが特徴です。
一方、カスタマーサポートは受動的に関わっていくのものです。顧客の側から問い合わせがあり、それに対して適切な答えを示して、疑問や課題、不満などの解決策を提案します。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを簡単にまとめると、前者が「攻め」の姿勢で取り組んでいくことであるのに対して、後者は「待ち」が基本姿勢になっています。
カスタマーサクセスのKPIとは
カスタマーサクセスにおいてはKPIの設定が非常に大事なのですが、このKPIがなんだか分からないという人もいるでしょうから、わかりやすく解説しましょう。
KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字を取ったもので、日本語では「重要業績評価指標」と言います。事業目標を達成するための業績評価の指標のことです。
もう少し簡単に説明すると、チームや個人が目標達成に向けて、プロセスをどのように実行しているか定量的に測る指標ということになります。
KPIを具体的に設定することで、目標達成に向けた進捗度合いを把握できるようになります。
カスタマーサクセスの主なKPI8つ
カスタマーサクセスで設置するKPIはいろいろありますが、その中から8つ取り上げて解説します。
解約率(チャーンレート)
解約率(チャーンレート)とは、顧客が契約中のサービスを途中で解約した割合のことです。
サブスクリプション型のビジネスでは、新規顧客の獲得も大事ですが、既存顧客をいかに逃さないかがポイントになってきます。契約したサービスを長期にわたって利用し続けてもらってこそ、利益が上がります。
そのため、KPI設定でも解約率が最初のキーワードになるのです。
売上維持率(NRR:ネットリテンションレート)
売上維持率(NRR:ネットリテンションレート)とは、既存顧客の売上が前年比レベルを維持できているかを測る指標のことです。
サブスクリプション型ビジネスでは既存顧客から入る利益が非常に大きな意味を持ちます。売上維持率(NRR:ネットリテンションレート)が100%以上であるなら、安定した利益が得られている証拠となります。
オンボーディング完了率
オンボーディングとは、顧客がサービスを導入してから定着させるまでの状態のことです。
顧客がサービスを導入しただけでは、実際にどこまで利用してくれるかわかりません。使い方と価値を理解し、定着させてこそ、今後の安定した継続利用が期待できます。それが、解約率の低下にもつながるでしょう。
オンボーディングが完了していない顧客の場合、サービスを利用していない、必要ない状態でしょうから、そのまま解約につながりやすいです。
オンボーディング完了率をKPIに設定することで、今後の支援体制なども策定できるでしょう。
アップセル・クロスセル率
アップセルとは、現在利用中の商品やサービスよりも高額なものに切り替えることを意味します。クロスセルは関連商品やサービスも一緒に購入・利用してもらうことです。
ともに企業の利益を伸ばす上で重要な指標になります。
ただ、アップセルやクロスセルを闇雲に行うのでは、十分な効果が上がりにくいです。顧客ニーズを十分理解した上で提案を行うことがカスタマーサクセスではとても大切です。
顧客生涯価値(LTV:ライフ タイム バリュー)
顧客生涯価値(LTV:ライフ タイム バリュー)とは、顧客が生涯を通して自社にもたらしてくれる利益のことです。競合他社への移行、解約に至るまでに顧客が自社商品やサービスに支払った金額の総額のことでもあります。
LTVをKPIに設定することで、既存顧客の維持具合、今後の働きかけ方なども見えてきます。
顧客推奨度(NPS:ネット・プロモーター・スコア)
顧客推奨度(NPS:ネット・プロモーター・スコア)もKPIに設置することが多い項目です。
顧客推奨度では、アンケートなどを使いながら顧客が自社商品やサービスを知人に勧める度合いを測ります。よくある質問は次のようなものです。
- 0~10点の11段階で評価してください
- 回答した理由を自由に回答してください
これらの質問に対して、回答は次の3つの区分に分類されます。
- 0~6点をつけた人は批判者
- 7~8点をつけた人は中立者
- 9~10点をつけた人は推奨者
以上の評価をつけた人のうち、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた数値がNPSです。
LTVだけではわからない顧客の真の満足度を測る点でNPSは役に立ちます。
顧客満足度(CSAT:Customer Satisfaction Score)
NPSは顧客が自社商品やサービスに満足し、他人に勧めたいかを測る指標ですが、CSATは感情面から見た満足度を推し量ります。
こちらもアンケートという形態を取ることが多く、非常に満足・満足・普通・不満・非常に不満の5つの回答を得て、満足度を調査します。その結果を集計して数値化したものはCSATスコアと言います。
ヘルススコア
ヘルスコアとは顧客の健康状態を図ることですが、正確には今後も自社商品やサービスを利用し続けてくるかを数値化した指標です。
ヘルスコアをKPIに設置することで、解約防止に向けた取り組みもできるし、サポート対象の絞り込みもできます。ヘルスコアの数値が一定以下ならその顧客にはサポートを行わず、重要顧客だけにサポートし続けるように判別することも可能です。
カスタマーサクセスのKPIを設定する3ステップ
カスタマーサポートのKPIの意味を知ったところで、今度は実際に設定するステップを解説します。
KGI(重要目標達成指標)を決定する
カスタマーサクセスのKPI設定では、まずKGI(重要目標達成指標)を決定します。KGIとは最終ゴールのことです。最終的にどのような状態になることを目標とするのかを決めます。
KGIは曖昧に設定してはいけません。時期や判断基準などは明確に定め、達成可能な数値を具体的に決めましょう。
現状を把握する
KGIを決めたら、現状を把握してみましょう。
KGI達成に向けて、自社の商品やサービスに必要なプロセス、KPIと現実の状況の差を確認します。
KPIを設定する
現状把握ができたら、KPIを設定します。KPI設定では、次のような5つのポイントを押さえておく必要があります。
- 明確性
- 計量性
- 実現可能性
- 関連性
- 時間制約
これらのポイントを押さえたうえで、要点を絞ったKPIを設定します。範囲が広がりすぎると、実現性が乏しくなるからです。
まとめ
今回の記事では、カスタマーサクセスで重要なKPIについて説明しました。
カスタマーサクセスにおいて適切なKPIを設定すると、様々な状況を数値化して判断することができます。その結果、今後の商品やサービス、業務の改善に活かせるようになり、顧客の成功の支援ができます。それが企業の利益アップにもつながります。
皆さんもぜひ自社に適したカスタマーサクセスのKPIを設定していただき、安定した収益を上げられるように努めてください。